アメリカ合衆国農務省(USDA)は、 2012年5月16日に、ORACデータベースを撤回すると発表していますね。

肩透かしにあった気分(笑)。ORAC値は、信憑性のあるものではなかったのでしょうか?

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米国農務省の栄養データ研究所(NDL)は、ポリフェノールを含む特定の物質の抗酸化能を示す値(ORAC値)が人間の健康に関係がないという証拠を元に米国農務省のORACデータベースを削除しました。

ORACとは、食品などに含まれる抗酸化物のラジカル捕捉活性を数値化した指標の一つです。

撤回の理由を簡単にまとめると、

  • 特定の抗酸化物のORAC値が人間の健康と直接関連しないこと
  • ほかの方法で求めた抗酸化活性と相関しないこと
  • 抗酸化物の効能がラジカル捕捉だけとは限らないこと
  • 食品およびサプリメントの評価、使用に際して誤解のもとになっていること

結局、人間、わかっているようで、何もわかってはいないということでしょう。

ORAC値が全く健康に関係ないとは思いませんが、数値の高い食材だからといって、健康に寄与してくれるとは限らないということですよね。いい勉強になりました。

それから10年以上たった今、ORACはどうなっている?

USDAがORACデータベースを撤回したのは2012年。それから10年以上が経ち、ORAC値をめぐる状況も変わってきました。

まず、USDAがデータベースを撤回した理由は、今も基本的に同じです。試験管内(in vitro)で測った抗酸化能は、体内での実際の働きを反映しないということ。ORAC値がどんなに高くても、それがそのまま人間の健康に結びつくわけではない、というわけです。

その後、2024年にはUSDAの栄養データ研究所(NDL)自体が閉鎖され、長年親しまれてきた「National Nutrient Database」も姿を消しました。ORACデータベースの撤回は、そうした流れの先駆けだったんですね。

ただ、ORAC値が完全に無意味になったわけではありません。現在も、食品の抗酸化能を比較する研究の道具として使われることはあります。2025年の研究でも、カカオ豆の殻の抗酸化能を評価するのにORAC法が使われています。問題は、ORAC値を「健康効果のものさし」として宣伝に使うことなんですよね。

今、抗酸化物質の評価はどう変わった?

ORACに代わって、現在はもっと総合的な見方がされるようになっています。

2025年の研究では、抗酸化物質の効果は「フリーラジカルを直接中和する力」だけでなく、体内の抗酸化酵素の働きを促すシグナル分子としての役割も注目されています。つまり、ORAC値のような単純な数値では測れない仕組みが、体の中では働いているんですね。

また、2025年に発表された大規模研究では、フラボノイドを「多様に」摂っている人ほど死亡率が低いことが確認されました。単一の成分や高い数値より、いろんな食品をバランスよく食べることが大事だという方向に、研究の関心が移ってきています。

カカオとORACの関係は?

以前このブログで紹介したように、カカオやダークチョコレートはORAC値が高い食品としてよく挙げられていました。でも、USDAがデータベースを撤回したように、ORAC値の高さだけで健康効果を判断するのは危険です。

カカオの健康効果については、ORAC値とは別に、血圧低下や血管機能の改善、腸内細菌叢への影響といった、実際のヒトでの研究結果が積み重なっています。2026年のシステマティックレビューでも、カカオフラバノールの血圧低下作用が確認されています。数値ではなく、実際の体への効果で評価するという流れになっているんですね。

まとめ

テーマ 2012年当時 現在
ORACデータベース USDAが撤回 NDL自体も閉鎖。ORACは研究用の道具に
抗酸化物質の評価 ORAC値が注目される 体内での実際の効果や多様性が重視される
カカオの健康効果 ORAC値の高さで宣伝 血圧、血管、腸内環境などヒトでの研究が中心
大事なこと 数値の高い食品を選ぶ いろんな食品をバランスよく食べる

人間の体は複雑。そして、この世はカオス。健康的な食事をしていれば、長生きできるというわけでもありません。ましてや、善人が長生きするわけでもない不条理。

というわけで、再び、結論が出ました。

結局、好きなものを食べて、楽しく、ストレス無く生きていくというのが良さそうです(笑)。

参照

Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) of Selected Foods, Release 2 (2010) - USDA

ORAC 酸素ラジカル吸収能と抗酸化作用の高い食品

食品の抗酸化力評価の提案 ~ ORAC分析を中心に ~ - 財団法人食品分析開発センター

USDA によるORAC データベースの撤回(PDF) - 抗酸化物の活性、効能に関する話題

Oxygen radical absorbance capacity - Wikipedia

酸素ラジカル吸収能 - Wikipedia

ORAC値(活性酸素吸収能力値)のご紹介 - 黒豆屋

ポリフェノール - Wikipedia

抗酸化物質 - Wikipedia

ショサイの抗酸化物質含有量テスト、ORAC6の優位性

追加の参照