米国農務省が発表しているORAC値の高い食材トップ20です。
USDA Database for the Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) of selected Foods(PDF)

| 順位 | 名前 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | クローブ(スパイス) | 314,446 |
| 2 | シナモン(スパイス) | 267,536 |
| 3 | 乾燥オレガノ(スパイス) | 200,129 |
| 4 | ウコン(スパイス) | 159,277 |
| 5 | 乾燥ココア粉末(無糖) | 80,933 |
| 6 | クミンの種(スパイス) | 76,800 |
| 7 | 乾燥パセリ(スパイス) | 74,349 |
| 8 | 乾燥バジル(スパイス) | 67,553 |
| 9 | チョコレート(無糖) | 49,926 |
| 10 | カレー粉(スパイス) | 48,504 |
| 11 | ダッチングされたチョコレート粉末 | 40,200 |
| 12 | 新鮮なセージ | 32,004 |
| 13 | 黄色マスタードシード(スパイス) | 29,257 |
| 14 | 生姜(スパイス) | 28,811 |
| 15 | 黒胡椒(スパイス) | 27,618 |
| 16 | 新鮮なタイム | 27,426 |
| 17 | 新鮮なマジョラム | 27,297 |
| 18 | チリパウダー(スパイス) | 23,636 |
| 19 | ダークチョコレート | 20,823 |
| 20 | セミスイートチョコレート | 18,053 |
100g(グラム)あたりに含まれるORAC値です。
カカオやチョコレート以外は、全て香辛料やスパイス類と言えるでしょう。
スパイスを100g、毎日摂取するというのは現実的ではないように思いますので、やはり、カカオパウダーやチョコレートがベストということになるのだろうと思います。
数字は半分に減っていますが、ダッチングされたチョコレートも、なかなか優秀な数字と言えるのではないでしょうか。
でも待って、このORAC値……実は撤回されているんです
ここで、ちょっと大切な話を。
このトップ20のリストは、USDA(アメリカ合衆国農務省)が発表したものですが、USDAは2012年5月16日に、このORACデータベースを撤回しています。
理由は、「ORAC値が人間の健康と直接関連しないという証拠が出たこと」「他の方法で求めた抗酸化活性と相関しないこと」「食品やサプリメントの評価に誤解を招いていること」などでした。
つまり、この華やかなトップ20リストは、今の科学では「健康効果の指標としては使えない」とされている数字なんです。
ORAC値が高い=体に良い、ではない
このリストを見ると、クローブやシナモン、オレガノといったスパイスが上位を占めています。でも、スパイスを100gも食べる人はいませんよね。実際に摂取する量で考えれば、意味が変わってきます。
USDAがデータベースを撤回した背景には、「試験管内(in vitro)で測った抗酸化能は、体内での実際の働きを反映しない」という問題がありました。ORAC値がどんなに高くても、それがそのまま血圧を下げたり、老化を防いだりするわけではないんですね。
2024年には、USDAの栄養データ研究所(NDL)自体も閉鎖され、長年親しまれてきた栄養データベースも姿を消しました。ORACデータベースの撤回は、そうした流れの先駆けだったんです。
じゃあ、何を見ればいいの?
現在、抗酸化物質の評価はもっと総合的に行われるようになっています。
2025年の研究では、抗酸化物質の効果は「フリーラジカルを直接中和する力」だけでなく、体内の抗酸化酵素の働きを促すシグナル分子としての役割も注目されています。単純な数値では測れない仕組みが、体の中では働いているんですね。
また、2025年に発表された大規模研究では、フラボノイドを「多様に」摂っている人ほど死亡率が低いことが確認されました。単一の成分や高い数値より、いろんな食品をバランスよく食べることが大事だという方向に、研究の関心が移ってきています。
カカオやチョコレートについては、ORAC値とは別に、血圧低下や血管機能の改善、腸内細菌叢への影響といった、実際のヒトでの研究結果が積み重なっています。2026年のシステマティックレビューでも、カカオフラバノールの血圧低下作用が確認されているんですね。
まとめ
| テーマ | 当時の見方 | 現在の見方 |
|---|---|---|
| ORAC値 | 高いほど体に良いとされた | 健康との直接的な関連は否定された |
| USDAデータベース | 参照の基準 | 2012年に撤回、NDLも2024年に閉鎖 |
| 抗酸化物質の評価 | 数値で比較 | 体内での実際の効果や多様性を重視 |
| カカオ・チョコ | ORAC値の高さで宣伝 | 血圧、血管、腸内環境などヒトでの研究が中心 |
| 大事なこと | 数値の高い食品を選ぶ | いろんな食品をバランスよく食べる |
ORAC値が全く健康に関係ないとは思いませんが、数値の高い食材だからといって、健康に寄与してくれるとは限らないということですよね。いい勉強になりました。
結局、好きなものを食べて、楽しく、ストレス無く生きていくというのが良さそうです(笑)。ただ、その「好きなもの」が、できればカカオ多めのダークチョコレートだといいなと思います。
参照
USDA Database for the Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) of selected Foods - USDA(PDF)
U.S. Department of Agriculture
追加の参照
- USDA Nutrient Data Laboratory closure (2024)
- Free radicals and their impact on health and antioxidant defenses: a review - Cell Death Discovery (2025)
- フラボノイドを豊富に含む食品で「寿命が伸びる」と判明 - ナゾロジー (2025)
- Impact of cocoa flavanols on blood pressure and vascular function (2026)
- Does chocolate contain dangerous levels of heavy metals? - Examine.com (2025)