健康寿命を伸ばすには、体内の水分量をキープし、姿勢と食事に気をつけることだそうです。
順天堂大学名誉教授の佐藤信紘 (さとうのぶひろ)先生が、NHKラジオニュースで解説していました。 勉強になったので、メモです。
平均寿命との格差、約9年
平均寿命との格差、約12年
健康寿命とは、介護の必要がなく、健康的に生活できる期間を示しています。 多くの人は、病気を抱えて長生きすることになります。
平均寿命が伸びることは非常に良いことですが、これからの医療は、健康寿命を長くするべきです。 食事や運動などによって、病気を予防することが、とても大事です。
新生児は、体全体の70%が水ですが、年をとると、50%程度まで水分量が減ります。 水分の減少が、体の機能や、細胞の働きを損ねる一番の原因になります。 水分の量をいかにキープするかが、とても大事です。
水分量がキープできないと、活性酸素と言われるものが発生します。 活性酸素は、老化の進行や、癌の発生に関係することが明らかになっています。
ここで、食べたもののエネルギーをどのように使うかがポイントです。 エネルギーを使うと、新たなエネルギーを補充しなければならなくなります。 このエネルギーを作りなおすときに、水ができるわけです。 この水が体にとって、非常に大事です。
水分量をキープすると聞くと、こまめに水分を補給しなければならないと考えるが、そうではありません。 もちろん、水を飲むことも大切なことではあるが、そう単純な問題ではありません。 エネルギーが消費されて、再びエネルギーを作り出す、そのときに水も作られます。
運動すると、エネルギーを使います。 一般的に、年をとると、体の中で使うエネルギーが減り、基礎代謝量も減ります。 そうして、だんだん水が作られなくなってきてしまいます。 そのことが、年寄りの水分不足、病気へとつながります。 水分をキープするためには、運動が大事です。
体の姿勢を保つような運動が必要で、スクワット、片足バランスなど、背骨を伸ばし、背筋をまっすぐに伸ばして、頭を上に向けることが最も大事です。 運動する際も、姿勢を保ったままで行いましょう。 肥満がある人や足腰が痛い人は、姿勢が悪くなりがちです。 重力に対して、垂直に立つ事が重要です。 重すぎると、重力に耐えられなくなり、骨が弱ります。
寝たきりになると、入院後、3日程度で、骨や筋肉が傷んで、元に戻らなくなります。 痛みを抱えても、歩くことで回復は早まります。 痛み止めを注射してでも、体を横たえてはいけません。 体を動かすことが大事です。 歳を重ねて、体が痛いとか、体を動かすことを億劫だなと思ってはいけません。 立って歩けない人でも、からだを動かすことが大事で、座ってでも、首を上に向けて、体を捻ったり、曲げたりすることが大事です。
毎日の食事に気を配ることが大事です。 癌の3分の1は、過った食事が原因です。 医食同源なのです。
問題は、食事の内容と腸内細菌だと言われています。
肉を摂り過ぎる、魚を取らない、野菜を取らない、果物が少ない、あるいは、お米を食べ過ぎる、辛いものを摂り過ぎる、甘いモノを摂り過ぎるなど、これは糖尿病の原因になります。 「過ぎたるは及ばざるが如し」です。
そして、腸内細菌の活動を高めることが大事です。 良い細菌と悪い細菌があって、ストレスがかかると、悪い細菌が優勢になり、良い細菌は、繊維、食物繊維を摂ると優勢になります。 ごぼう、根菜、葉物の野菜、果物、こういうものを食べると、お腹の中で腸内細菌によって分解され、乳酸、酢酸など、体にとって良い細菌、低級脂肪酸が優勢となります。
これらは、エネルギー源になると同時に、免疫、神経系を活性化して、元気になります。 食事も大切なポイントで、健康寿命は、生活習慣により、大きく変えられます。
病気になるには、大きく3つの要因があります。
運動は十分か、食事は取り過ぎていないか。 タバコやアルコールは飲み過ぎていないかどうか。 肥満がないか、血圧がどうか。コレステロールはどうか。 そういったことを一応全部、気をつけるということがとても大事です。
社会に、積極的に参加して、毎日の規則正しい生活リズムとともに、明るく楽しく生きることが一番大事です。
体の水分量は、本当に大切なんですね。
しかも、飲んで水分補給するのではなく、運動して水をつくり出すべきという貴重なお話。
たいへん勉強になりました。
参照
佐藤 信紘(サトウ ノブヒロ) - 順天堂大学 研究者情報データベース
佐藤信紘(順天堂大学名誉教授) - 日本神経消化器病学会理事長のご挨拶