ココアバターの融点決定に関与する遺伝子の発見は、広く食品や医薬品に使用されることから、非常に重要なものです。

Researchers discover gene that controls melting point of cocoa butter

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ペンシルベニア州立農業科学大学(Penn State's College of Agricultural Sciences)の研究者によれば、改良された新製品開発につながる科学的発見であると述べられています。

植物遺伝学者による発見は、カカオ栽培地域の範囲を拡大し、収穫量を高め、新品種の開発にも繋がります。 また、カカオ農民の所得を上げることにもなります。


カカオ(Theobroma cacao L.)は低木で、アマゾン流域が原産です。 現在では、広く、西アフリカ、中南米、東南アジアで栽培されています。

世界中で、500万人以上のカカオ農家が存在し、カカオ産業全体では4,000万人以上の人々が従事しています。 世界ココア財団(World Cocoa Foundation)によれば、世界の年間生産は、380万トンで、118億ドル(1.4兆円)相当になります。

カカオポッド1つに、約40個ほどのカカオ豆を含み、受粉後、約20週間(約5ヶ月)で収穫されます。 カカオ豆はチョコレートの主原料としてだけでなく、医薬品や化粧品となり、約50%のココアバターが含まれています。


「融点温度が改良されたココアバターは、チョコレート、化粧品、医薬品の新たな用途を見つけることになるでしょう」

と、カカオを30年間研究してきた植物分子生物学教授のマーク・ギルティマン(Mark Guiltinan)教授は述べています。

例えば、より高い、または、より低い融点を有するチョコレートは、口溶けや口当たりが改良され、また、特殊用途のチョコレート製造にも有用でしょう。


ココアバターと呼ばれる脂質は、カカオ豆の約半分を占めます。 ココアバターの自然の融点は、人体温度に近いです。 この特性は、滑らかな口溶けのチョコレートとなり、皮膚に使うと、クリーミーな肌触りのローションになります。

チョコレートの「硬さ」と「口溶け」は、チョコレートの魅力を決定する2つの非常に重要な特徴であり、異なる融点を持つ新品種のカカオを生産できるとすれば、貴重な資源となります。

また、医療用途では、現在のココアバターよりも、薬物をよりゆっくりと放出しできる製品の開発につながります。

と、ギルティマン教授は説明しています。


チョコレートはもちろんですが、医療分野での応用に期待したいですね。

高級化粧品の分野でも、活躍の場を広げてくれることでしょう。


参照

Researchers discover gene that controls melting point of cocoa butter - Penn State News

College of Agricultural Sciences - Penn State University

Penn State University

ペンシルベニア州立大学 - Wikipedia

ココアバター(カカオバター) - Wikipedia

カカオ - Wikipedia

World Cocoa Foundation

Mark Guiltinan, Ph.D. - Penn State University