健康と研究
活性酸素は万病のもと
フジテレビの「あるある大辞典」より活性酸素の解説ビデオです。
第一の活性酸素

スーパーオキシドラジカル
- 呼吸によって、細胞内に発生
- 攻撃力は、比較的弱い
細胞内には抗酸化酵素が備わっていて、発生したスーパーオキシドラジカルは、すみやかに消去されます。
主な抗酸化酵素には、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)などがあります。 呼吸で発生したスーパーオキシドラジカルは、SODが無害な水に処理しています。
SODの働きは、年齢に応じて衰えていくもので、40代から一挙に低下します。 運動不足も、SODの働きを低下させます。 適度な運動は、抗酸化酵素の活性を高めます。 しかし、日頃から運動不足が続くと、SODの働きも鈍くなってしまいます。 体を鍛えるのと同様、抗酸化酵素を作る細胞も鍛える必要があります。
肝機能の低下も、SODの働きを衰えさせます。 SODは肝臓で作られ、全身の細胞に送られます。 暴飲暴食や睡眠不足で肝機能が低下すると、SODの生産量も減少します。
結果、細胞内に発生する活性酸素を素早く処理しにくくなります。
第ニの活性酸素

過酸化水素
- 狂暴な攻撃力を持つ
- 細胞膜を通過して、血管内に進出
本来、まん丸なはずの赤血球が、いびつに変形することがあります。 これは、赤血球の膜に含まれる水素が、過酸化水素によって奪われた傷跡である可能性があります。 不安定な構造の活性酸素は、本能的に周囲から水素を奪って、自分を安定した水に変えようとする性質があります。
酸素の運搬能力が低下し、疲労感や新陳代謝の低下に繋がる緊急事態となります。
更には、血管の内側の細胞も障害を受けます。 赤血球ばかりではなく、血管壁に含まれる水素もターゲットになります。 こうして傷つけられた部分は、脂肪がつきやすくなり、硬くなった血管が様々なトラブルを引き起こすきっかけになってしまいます。
活性酸素を発生させる3大要因
- ストレス
- 過食
- お酒の飲み過ぎ
第三の活性酸素

ヒドロキシラジカル
赤血球の膜が壊され、鉄分が流出すると、活性酸素は金属と反応し、ヒドロキシラジカルという酸化力が強く、毒性の強い活性酸素に変化します。
- 体内に抗酸化酵素がない
- あらゆるものを破壊する
- 核の中のDNAまで障害を起こす
DNAが修復されず、遺伝情報が狂ったまま細胞がミスコピーされた結果が癌です。 第三の活性酸素が発生した人体では、脳の神経細胞までもがターゲットにされ、物忘れがおきます。 脳の神経細胞は分裂できないため、いったん破壊されると、脳機能の衰えに繋がります。 第三の活性酸素は、アルツハイマー病の原因としても問題視されています。
第一、第ニの活性酸素を増やさないことが大切です。
抗酸化物質の多いチョコレートが、どうしてアルツハイマー病予防に効果があるのか、ようやく納得して、理解出来ました。
2025〜2026年の研究でわかったこと
このビデオを見つけた当時から10年以上が経ち、活性酸素の研究はずいぶん進みました。当時の「活性酸素=悪者」という単純な構図が、今はもう少し複雑で、そして希望に満ちたものに見えています。
活性酸素は、完全な悪者ではなかった
2025年に『Cell Death Discovery』に掲載されたレビューでは、活性酸素種(ROS)が細胞の情報伝達や免疫機能にも役立っていることが、あらためて確認されています。
活性酸素は、病原体を攻撃したり、細胞の増殖や分化のシグナルとして働いたりと、体にとって必要な役割も持っています。問題は、活性酸素の発生と、体がそれに対処する能力のバランスが崩れたとき。この状態を酸化ストレスと呼び、がん、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病などと深く関わっているんですね。
つまり、「活性酸素をゼロにすればいい」のではなく、適度なバランスを保つことが大切なんです。
SODの働きは、今も「加齢で低下する」
当時「SODは40代から一挙に低下する」と言われていました。2025年の研究でも、SODの活性は加齢とともに低下し、酸化ストレスが増加することが確認されています。
特に、ミトコンドリアのSOD(SOD2) の低下が、加齢に伴う心機能や筋肉機能の衰えに関与していることが、2026年の研究で明らかになっています。
でも、希望もあります。2026年の研究では、適度な運動がSODの活性を高め、加齢に伴う酸化ストレスを軽減することが、ヒトでも確認されています。運動は、抗酸化酵素を作る細胞を「鍛える」んですね。
ミトコンドリアが、老化の「上流」にある
2025年に『Signal Transduction and Targeted Therapy』に掲載されたレビューでは、ミトコンドリアが酸化ストレス、炎症、老化を統合的に制御する中心的なハブであることが確認されています。
ミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギー代謝が落ち、活性酸素の産生が増え、炎症が慢性化するという悪循環が生まれます。2026年の研究では、ミトコンドリアDNAの変異が蓄積すると、心臓の機能が実際に低下することも、カロルinska研究所のチームによって確認されました。
運動は、ミトコンドリアを「若返らせる」
2026年に『PNAS』に掲載された研究では、運動による骨格筋のミトコンドリアのリモデリングが、加齢に伴う筋機能の低下を逆転させることが、マウスとヒトの両方で確認されました。
また、2025年の研究では、レジスタンス運動と小用量のHIITを組み合わせると、中高年のミトコンドリア能力とレドックスバランスが改善し、筋肉内の過酸化水素が減少したことも報告されています。運動は、ミトコンドリアの質と量の両方を高めるんですね。
カロリー制限は、ミトコンドリアを守る
2025年の研究では、カロリー制限が、心臓と脳のミトコンドリアにおけるタンパク質の酸化を強く抑えることが確認されました。老化そのものよりも、食べ過ぎないことが、ミトコンドリアを守るうえで重要だという結果は、とても興味深いですね。
ヒドロキシラジカルとアルツハイマー病
当時「ヒドロキシラジカルがアルツハイマー病の原因として問題視されている」と説明されていました。2025年の研究では、ヒドロキシラジカルがアミロイドβの凝集を促進し、神経細胞死を引き起こすメカニズムが、より詳しく解明されています。
一方で、カカオに含まれるフラバノールが、ヒドロキシラジカルによる神経細胞の酸化ダメージを軽減することも、2025年の研究で確認されています。チョコレートがアルツハイマー病予防に役立つかもしれない、という期待は、少しずつ裏付けられてきているんですね。
まとめ
| テーマ | 当時の見方 | 2025〜2026年の知見 |
|---|---|---|
| 活性酸素の役割 | 完全な悪者 | 免疫機能や情報伝達にも役立つ。バランスが大切 |
| SODの働き | 40代から一挙に低下 | 加齢で低下するが、運動で活性を高められる |
| 過酸化水素 | 血管を傷つけ、動脈硬化の原因に | ミトコンドリア機能低下が酸化ストレスを増幅 |
| ヒドロキシラジカル | アルツハイマー病の原因 | アミロイドβ凝集のメカニズムが解明。カカオフラバノールが保護 |
| 運動の効果 | 抗酸化酵素を鍛える | ミトコンドリアのリモデリングで筋機能低下を逆転 |
| カロリー制限 | 言及なし | ミトコンドリアのタンパク質酸化を強く抑制 |
| 抗酸化サプリ | 多いほど良い | 高用量は運動効果を打ち消す可能性 |
活性酸素とミトコンドリアの関係は、10年前よりもずっとクリアに、そして希望に満ちたものになってきました。活性酸素は完全に悪者ではなく、運動はミトコンドリアを若返らせ、カロリー制限はミトコンドリアを守る。結局、適度な運動とバランスの良い食事という、地味だけど確実な習慣が、一番の「アンチエイジング」なのかもしれません。
抗酸化物質の多いチョコレートが、どうしてアルツハイマー病予防に効果があるのか、ようやく納得して、理解出来ました。
参照
追加の参照
- Free radicals and their impact on health and antioxidant defenses: a review - Cell Death Discovery (2025)
- Mitochondria in oxidative stress, inflammation and aging: from mechanisms to therapeutic advances - Signal Transduction and Targeted Therapy (2025)
- Mitochondrial DNA mutations: more than a marker of aging - Science Advances (2026)
- Mitochondrial remodeling in skeletal muscle underlies exercise-induced reversal of age-associated functional decline in mice and humans - PNAS (2026)
- Not Aging but Calorie Restriction Strongly Affects Protein Oxidation in Heart and Brain Mitochondria - Aging Cell (2025)
- Neuroprotective potential of cocoa flavanols: Molecular insights, translational and clinical challenges - ScienceDirect (2026)
ABOUT THIS ARTICLE — この記事について
この記事は2026年10月7日に内容を見直しました。 健康に関する情報は、医療の代わりになるものではありません。編集の方針は運営者情報をご覧ください。